タイトル【普通の恋愛】(原作:直正也) 〘主管〙 Blue Love Theater制作委員会 〘主催・制作〙ライズコミュニケーション 〘制作協力〙文化放送、ナンバーナイン 〘劇場〙浅草花劇場 脚本第1稿(12・28):藤原新太 《登場人物》 文原一良(ふみはら いちろう) 東 慶伊(ひがし けい) 周弥さん 東 慶伊の姉 + 竜田喜春 +その他・女性役 サチコママ + 藤川先生 +彰伸さん + 男性同僚① + 男性① + 周弥友人② 柊沢未来 + 匠さん + 男性同僚② + 上司 + 友人① + 周弥友人① 【プロローグ】 SE《オフィスの騒がしい音》 女性同僚「あの~このレイアウトどうですか?」 映像①《文原:表情UP》(P5) 文原「あ~例えば、ここの配置を変えてみたり、ロゴの大きさを変えるだけでも、見え方が違ってくるだろ?」 女性「本当だ!少し変えただけで最初より全然見やすいです」 文原「元が良くできてるからな。後は、微調整だ」 女性「訂正してみます!ありがとうございます!」 文原「でも、もう定時だから明日でいいぞ」 男性同僚①「いや~、ふみさんがオレ等にチーム長でよかったな!」 男性同僚②「仕事できるし、教え方上手いし、褒め上手だし、いつもしっかりしてて、頼りになる!」 文原「褒めても、オレは今日飲み会行かないからな!」 男性同僚②「ちっ違いますよ!でも今日は金曜っスよ。本当に行かないっスか?」 文原「行かないな~」 SE《ドアが開く音》 東「どーも、ふみさん、これ、資料です」 映像②《東の登場》(P6) 文原「そうだ、資料頼んでたんだ。わざわざありがとうな東」 東「いえ、帰るつもりだったんで。お先に失礼します」 SE《ドアの閉まる音》 女性同僚「東くん、やっぱり、かっこいいな~」 男性同僚①「女は、あーいうの好きだよな」 男性同僚②「けど、あーいうイケメンって性格悪くね?」 女性同僚「ちょっと、東君の悪口言うのやめてください!あ~、彼女になって笑った顔とか見て見たいなー」 男性同僚①「でも、もう彼女いんだろ?」 男性同僚②「美人の彼女と付き合ってそうだよな~」 女性同僚「え~、落ち込むようなこと言わないでくださいよぉ」 SE《椅子から立ち上がる音》 文原「じゃあ、俺帰るな~、お前らもさっさと上がれよ~」 同僚全員「お疲れさまです(それぞれで)」 照明《文原OUT》 女性同僚「…ふみさんって彼女いるんですかね?」 男性同僚①「いないな、いたら絶対オレに相談してくるはずだ」 女性同僚「でも、ふみさんって35歳ですよね?プライベートの事って聞いたことないし、金曜は絶対飲みに行かないの変じゃないですか?」 男性同僚②「確かに、ふみさんお酒好きなのにな~」 女性同僚「絶対いますよ。彼女」 照明《文原と東》 M《 》 東「わー-(大きな声で)」 文原「ギャー 東「はっはっは。驚きすぎだよ!ふみさんって、なんで会社出るとそんなにドジなの?」 映像③《東:笑顔のアップ》(P9) 文原「もー、急に出てきたら驚くに決まってんだろ!」 東「さっき渡した資料に挟んどいたんじゃん!この公園にいるって」 文原「脅かすとは書いてなかった」 東「ごめん、次は書いとく」 文原「気を付けるとこはそこじゃない」 東「…ふみさん、今日泊っていい?」 文原「珍しいな、いつも聞かずに泊まるのに」 東「いや…今ので怒ったかと思って」 文原「…そうだな」 東「え?」 文原「スーパーに一緒に寄ってくれないと許さん」 東「うん!」 映像④《二人が手を繋ぐ:スル》(P11) 東「じゃあ、早く行こ」 映像⑤《二人の絵》(P11) 文原「東…ここ外だぞ?堂々と手、繋いで大丈夫か?」 東「いーじゃん、暗いし誰もいないよ」 文原「でも…」 東「ね、お願い、明るい通りに出るまで」 文原「人が来たら、離すんだぞ。ここ会社の近くなんだから」 東「承知いたしました」 映像⑥《手を繋いでる二人の背中》(P12) 文原「そう…俺と東は、付き合ってる」 M《オープニング音:要相談》 映像⑦《二人の印象的な絵》(※探す) 周弥「主人公の文原一良は、同性愛者のゲイだ。一方の東慶伊は、女性が恋愛対象、いわゆ る、異性愛者いわゆるノンケ… ストレートなど、まぁ、言い方は色々あるが、普通の 男性だ。会社では、上司と部下で、年も35歳と23歳で離れてる」 映像⑧《文原の紹介》(※探す) 映像⑨《東の紹介》(※探す) 周弥「俺の登場は、もう少し後になるけど…一良と関係のあった男とだけ伝えておくよ」 映像⑩《周也の紹介》(※探す) 周弥「この二人を取り巻く恋愛話」 映像⑪《東の姉の絵》(※探す) 映像⑫《藤川先生の絵》(※探す) 映像⑬《柊沢未来の絵》(※探す) 周弥「それは、愛し合う二人のごく“普通の恋愛”」 映像⑭《タイトル》(※P1) 周弥「ただ一つ…異なるのは、同姓同士の恋愛ということだけ。会社の同僚二人が、何で付 き合っているのかというと、時は…一年半前に遡る…」 SE《場面チェンジの音:シャー》 【第1場】 SE《居酒屋の騒がしい音》 東「あの物語の終わり方は、次も絶対ありますよね!」 文原「なー、主人公が死んでどうなるかと思ったら息子がいたなんて…」 東「次は、息子が父親の後を受け継いでく感じになるんでしょうね!」 文原「それにしても、東くん、会社の印象と随分違うな~」 東「そうですか?」 文原「うん!オレ教育係だったでしょ?もっとクールな子だと思ってたよ」 東「あーオレ、クールっていうか、表情筋を動かすの苦手なだけですから」 文原「今は、笑ってるよ」 東「え?オレ笑ってます?」 文原「笑ってるし、よく喋るし」 東「多分、楽しいとそうなるみたいです」 文原「無自覚なの?」 東「はい」 文原「よし、今日は、飲んじゃおう!すみません、生一つお願いします」 SE《ジョッキを倒す音:ガシャーン》 東「あー――、文原さんも大分会社と印象違いますよ」 照明《チェンジ》 周弥「居酒屋で盛り上がったその日以来…休日や仕事帰りに映画を観に行ったり、一緒に遊ぶことが多くなった。仲良くなるのがあっという間だった二人。そうして、半年が経ったある日のこと…いつもと同じように映画を観た帰りに居酒屋で飲んでいた。いつもと違ったのは…普段は酔わない一良が、変に酔っていたこと」 照明《チェンジ》 SE《居酒屋の音》 文原「東は、今日の映画どう思った?」 東「どうとは?」 文原「いや、同性愛の話だっただろ?苦手だとかそーいうのあるのかなって…」 東「いえ、俺は苦手じゃないですよ。というかこの要素で、映画を観ないって事は、オレは あまりないですね。でも、今回のは、切なかったですね。ゲイで悩む主人公がやっと主 人公がやっと好きな男性と付き合えたのに、社会とか世間のために最後には女性と結 婚してしまって…オレは、男同士でもお互い好きならそれでいいと思いますけどね」 文原「…でも、実際友達がゲイだったら引かない?」 東「引かないっスよ。その人の恋愛観に対して俺が引くって変じゃないですか?」 文原「……」 東「どうしました?ふみさんらしく…」 文原「じゃあさ、俺がそうだって言っても?」 東「えっ?」 文原「引かない?」 東「……」 文原「なーんて、冗談!酒飲みすぎたな!何言ってんだろーなオレ。ちょっと、トイレ…」 東「ふみさん!」 文原「え?」 東「引くわけないです!絶対に」 映像⑭《東:引くわけ… 》(P22) 文原「よかった…オレ東の事が好きだからさ」 映像⑮《文原:良かった》(P22) 東「えっ?」 文原「いや~よかった…」 東「じゃあ…付き合いますか?」 文原「誰が?」 東「オレとふみさん」 文原「…うん!」 照明《チェンジ》 周弥「以上が、二人が付き合った経緯。付き合い始めてから一年が経った。一良は、彼との関係に悩んでいた。これから避けて通れない恋の道に…」 照明《文原:サス》 文原「東は、女の子のことが好きなノンケだ。俺は、東が好きだ。けど、東も俺のこと本当に好きなのか?同情して付き合ってるんじゃないか?東といると楽しくて、ずっと一緒にいたいって思う。東がとなりにいると…嬉しい。それなのにふとした時に、不安で仕方なくなる。なぁ、オレ達このままでいいのかなぁ」 映像⑯《二人の布団》(P26) 照明《ブルー転》 SE《電話の着信音》 映像⑰《サチコママ:電話》 サチコママ「アタシよ」 文原「小次郎さん、珍しいですね、電話かけてくるなんて」 サチコママ「本名で呼ぶんじゃないわよ!今は営業中なんだから、サチコかママって呼びなさい!」 文原「すみません、サチコさん。で、どうしたんですか?」 サチコ「どうしたんですか?じゃないわよ!アンタ、この前店に来た時、アタシに悩み相談したんじゃないの!」 文原「え?」 M《 》 照明《チェンジ》 サチコ「恋人が、自分の事、本当に好きかどうかわからない?愛なんて、見えないもの見ようとしてどうすんのよ」 文原「う~ん、そうなんですけど、どーしても気になってしまって…」 サチコ「な~に、今更言ってんのよ、付き合って一週間くらい経つんでしょ?」 文原「はい。ちょうど、記念日が迫ってまして…仕事終わりに家でお祝いでもしようかと…」 サチコ「ほーら、仲良さそうじゃない。いつものろけ話ばっかだし、どーせ毎晩のようにやってんでしょ?」 文原「いやぁ、それがあいつとはまだ一度もないんです」 サチコ「……はぁ!!??」 文原「あ、いや、なんかするタイミングがなくてですね。相手は、男と初めてだし、がっつりいったら困ると思って…」 SE《地鳴り音》 サチコ「12歳も年下のノンケ捕まえといて何、悠長な事言ってんのよ!毎週金土は泊まりに来てるって言ってなかった?なんでさっさと襲わないの!!」 文原「おそっ…って、そんな事出来るわけないでしょ!!嫌われますよ!!…それにやる事が、必ずしも“好き”の証明になるわけではないですし…」 サチコ「じゃあ、やってないから不安ってことじゃないのね?」 文原「はい、俺は、わからないのが不安なんです。アイツが俺のどこが好きになったのか…同姓で付き合うと異性より苦労が多いというか…結婚できないし、子供もできない。親や友人など周りの理解も難しい。アイツはそんな苦労しなくても、アイツを好きになる奴は沢山いる。“普通の幸せ”を手に入れられる。本来ならオレみたいな奴と付き合うべきではないんです」 サチコ「……」 文原「半年前ぐらいからなんですけど…アイツからキスしてくれたり、手を繋いでくれたり、恋人らしい事しようと頑張ってくれてるみたいなんです。でも、それは、オレに気を遣ってくれてるんじゃないかなって…告白してOKしてくれたのも全部…そう思うと嬉しいことなのに、悲しくなってきちゃって…」 サチコ「アンタ!そーいうとこよ!本人に聞けば済むことをいちいち悩んで!!見てるこっちがイライラするわ!!そうやって、ずっと相手と向き合うことから逃げて、最終的に別れるつもりなの?」 文原「え?」 サチコ「前の奴みたいに…」 文原「そうですね…前のようになるくらいなら、きちんと全部聞きます」 サチコ「じゃあ、またお店に来なさいよ!常連客と慰めパーティー開いてあげるから!!」 SE《電話が切れる音》 文原「本当、この人オレの性格わかってるな~」 照明《チェンジ》 東「ふみさん、電話終わった?」 文原「おう、すまんな。さ、一周年のお祝いしようか?」 東「よっし、じゃあ料理作ろう!」 SE《揚げ物を揚げる音》 文原「(独り言)もしかしたら、これが、東と恋人としていられる最後の時間かもしれないな」 東「こっちは、もうそろ揚げ終わるよ。タルタルも大丈夫だし、後は塩をもう少し入れて…」 文原「東」 東「うん?」 映像⑱《二人のキス》(P42) SE《キスの音》(※検討) 東「ふみさん…」 文原「ごめんな」 東「なんで、謝るんだよ」 文原「なぁ、東…なんでオレなんか好きになったんだ?」 東「オレなんか?なんで、わざわざそんなこと聞くの?」 文原「本当は、ずっと気になってたんだ。東、顔はいいし、まぁ優しいしモテるしオレと付き合う前は、女の子としか付き合ってなかったんだろ?なのに、オレが告白したら、すんなりOKとか、ありえないだろ?」 東「ありえない?」 文原「だって、男同士だぞ?東は、“普通の恋愛”だってできるじゃないか?」 東「なにそれ?恋愛なんて個々の自由じゃん。“普通”なんて、ただ多数決の“多”ってだけでしょ?数が多いだけでそれが正しいとか優れてるの?もし仮にそうだとしても“普通の恋愛”が出来れば幸せになれんの?だったら、世の中はもう少しマシに回ってると思うけどね」 文原「オレだって、異性でも同姓でも恋愛するのは自由だし平等だと思ってる。けど、世間はそうじゃないよ。周りには、オレ達を見て“気持ち悪い”って思う人だっている。自分がゲイなのは変えられないし、こういうもんって割り切ってる。でも東は違うだろ?オレといる事で、東も周りにそーいう目で見られるよ?嫌な思いだっていっぱいする。オレといる限りずっと。オレにはわからない…東がそんな思いまでして、オレと付き合ってる理由が。東は、本当に恋人として、オレの事が好きなのか?もし、そうじゃないなら、オレは…別れた方がいいと思う」 東「……」」 文原「(まくし立てるように)告白したお前が言うなって話だけどな、気を遣わずきっぱり言ってくれ!オレは12歳も年上なのに頼りないし、マイナスな事ばかり考えるし、なよなよしてるし、めんどくさいし…」 東「あー――待った待った、勝手に自分で自分を傷つけんのやめてよ!自分を過小評価して暴走すんの悪い癖だかんね。こっちも聞いてて気持ちよくない!」 文原「すまん」 照明《チェンジ》 東「もし、付き合って間もない時に、この質問されてたら、オレはどう答えてたんだろう」 M《 》 東「確かにこの人と出会ったばかりの頃は、自分がこの人と付き合うことになるとは、夢に も思わなかったよ。気の合わない上司にテンション低いだの言われて無理やり酒飲まされた、新入社員歓迎会って名目のただの飲み会… だけど、ふみさんだけは気を使ってくれて、やさしかった」 文原「さっきから、結構飲んでるけど大丈夫、酔ってない?」 映像⑲《文原:酔ってない? 》(P55) 文原「東くん、お酒飲んでもあんまり顔に出ないよな。そーいう奴は、飲まされるから気をつけろよ。もし、辛くなったらオレに言え!いつでも助け船出すからさ」 東「…会社での研修中も、ずっと新人に対して誠実で、しっかりした人…慣れない社会人生活の中で、初めて尊敬した人だった。そして、休日の映画館で偶然出会った」 映像⑳《東:一緒に… 》(P59) 東「一緒に映画みませんか?」 文原「…そうだな!同じ映画みるんだしな」 東「その後、オレ達は仲良くなるのに時間はかからなかった。映画の好みが似ていたから、話が尽きなかった。それに…」 文原「今日の飲みの会計はオレが払うよ」 東「え?いや、悪いですよ。結構の飲んだし」 文原「いいって!」 東「じゃあ」 文原「あ」 東「どうしました?」 文原「すまん、今日現金あまり入れてなかった」 東「出しますよ、全部!」 照明《チェンジ》 東「ふみさんは、プライベートだと少しドジで、頼りなくて…人に謝ってばっかで、会社よりずっと柔らかい印象の人だった。仕事と違う姿が面白くて、話すのが楽しくて仕方なかった」 映像㉑《文原と東:二人デート》(P61) 東「人に無関心なオレが、初めて人の事をもっと知りたいと思った。仲良くなりたかったし、仲良くなれて嬉しかった。けど…男同士だったから、仲良くなった先があるとは思ってなかった」 照明《チェンジ》 文原「オレが、同姓愛者って言っても…引かない?」 東「今まで、そう感じたことはなかった。本当なのか冗談なのか、なんでオレに聞くんだろうって思った」 映像㉒《文原:冗談、酒飲みすぎたかなぁ、など全部》(P64) 東「ふみさんの誤魔化し方に俺は…焦りを感じた」 文原「オレ、何言ってんだ。トイレ行って…」 東「引くわけないです。絶対に」 文原「よかった。オレ、東の事が好きだからさ」 東「ふみさんが俺の事を?友達としてって事?いやこの流れは、恋愛としてだよな」 文原「東…」 東「じゃあ…付き合いますか?」 映像㉒《文原と東:お酒》(P68) 東「これは、勘だったけど、そういわないと、この人は俺から離れてしまいそうだと思った。初めてだった、こんなにも強く誰かを繋ぎ止めたいと思ったのは」 映像㉓《文原:アップ》(P70) 照明《ブルー転》 東「怒らないで聞いて欲しいんだけど…オレ告られた時あんたの事、恋愛として“好き”かわかんなかった。あの時は、あんたが後々、そーいうの気にするタイプだと思ったから、ぎこちなくなったり、避けられが嫌でOKした。オレは、あんたといられんなら、友達とか恋人とか肩書きなんてどーでもよかったんだ。でも、そーいうふわっとした考えだったから、あんたの事不安にさせたんだよね。ごめん。オレ。周りがどう思おうが、大切なのはオレらだと思うし、周りの反応であんたを嫌うとかない。オレは、あんたといられない方が嫌だよ。それにオレちゃんと気づいたから…」 文原「え?」 東「好きです」 映像㉔《東:好きです》(P94) 東「なので、恋人として、これからも傍にいさせてください」 映像㉕《文原:涙》(P95) 映像㉖《文原:キス》(P96) SE《キスの音》(要検討) 東「安心してください。これからは、好きでも愛してるでもなんでもあんたが望む方法で伝えます。ちゃんと、わからせますよ。オレがあんたの事、好きだってね」 文原「東」 東「あっ、恋人ルール決めていい?“お互いを下の名前で呼ぶ事”ね、一良(いちろう)さん」 文原「…えっと」 東「何、照れてんだよ」 文原「わかったよ。慶伊(けい)」 照明《チェンジ》 M《 》 文原「自分が“同性愛者”だと自覚したのは、中学生の時だった。部活の男の先輩を好きになった。その先輩は、2つ上で、すぐに卒業してしまったが、それをきっかけに前々からあった自分と他の人との違和感が、はっきりした。高校に入って、国語教師の藤川先生という人を好きになった。優しくて、よく褒めてくれる先生だった」 映像㉔《藤川先生:アップ》(P122) 文原「高校の時、思い切って告白した。“先生、好きです”」 藤川「ん?」 文原「す・すみません。変ですよね…すみません。で、でもオレ…」 藤川「うん。文原、わかったから…でも、ごめんな。その気持ちには応えられないんだ。オレと文原は、先生と生徒だからな」 文原「最初から、叶わないと思ってたから、ショックはなかった。その後も先生は、オレに前と変わらず接してくれた。けど…」 男生徒「なぁ、文原ってホモなのかなぁ」 女生徒「なになに?」 男生徒「この前、藤川に告白してんの聞いた奴がいて」 女生徒「は?二人とも男じゃん」 男生徒「ありえねーよなー」 男生徒・女生徒「ハハハ(笑う)気持ちわるいわ~」 照明《チェンジ》 東「一良さん!」 文原「えっ!」 東「何、突然、ぼーっとしちゃって。何が原因?」 文原「ゴメン」 東「いや、謝って欲しいわけじゃないから。じゃあ、恋人ルール追加!“何をして欲しいか、はっきりオレに言う事”わがままでもなんでも聞くよ。一良さんは、人に気を遣いすぎなんだよ。まぁ、それはいい所でもあるんだけど。でも、オレ、察するとかできねーんで、ちゃんと言ってください。鈍いオレにも考えてることがちゃんとわかるように」 文原「ちょっと、昔の事を思い出して…オレ、怖くて。普通の人に自分がゲイだって知られるの…」 東「一良さんは、オレといるの恥ずかしい?」 文原「それは違う!絶対に違う!!」 東「……」 文原「そーじゃなくて…違うんだ。自分の存在をいくら認めても、オレは社会では、異物だ。他人なんて、関係ないって頭では、わかってる。それなのにどーしても、気になるんだ。普通の人達の目や言葉が怖い…」 男性・女性「(笑う)はははは」 文原「情けないんだけど…自分が一番、怖いんだ」 東「じゃあ、一良さんは、これからどうしたいの?オレは、どーすればいいの?」 文原「…えっと」 東「恋人ルール!“何をして欲しいか、はっきりオレに言う事”」 文原「オレ…慶伊と一緒にいたい!」 東「もう、周りのこと気にしない?」 文原「だ、大丈夫だ!オレ周り気にしないように頑張るから!!要は、気の持ちようだよな!うん頑張る!とにかく頑張るっ!大丈夫っ!」 東「お、落ち着け」 文原「ゴメン」 東「まったく、あんたは一人でなんとかしようとして、頼るって事、知らねーんだから」 文原「……」 東「じゃあさ、一緒に住もうか?」 文原「え?」 東「だから、同棲しようよ」